これは、2011.10.10京都会館で行なった「京都会館のより良き明日を考える会」(http://kyotokenchiku.blogspot.com/)で山﨑が発言提案した文です。大規模な改造は、使用料が高くなるので、中止した方が良い。
現在の全国コーラス大会やブラスバンドの大会など、市民の利用が難しくなります。
劇場にはそれぞれ特徴があり、長所欠点があって良いのです。
それぞれの特徴を活かした運営をすればよい。
よい建築は、使い方や内部を改装しても残していくのが「建築文化」であり、都市文化である。ヨーロッパの都市はこのようにして成長している。
例えば、京都市の明倫小学校を芸術センターとしているように、
また、村野藤吾さん設計の宇部市民会館は、舞台後ろを増設しながら公民館的舞台を上手に劇場化しています。
大阪中之島公会堂は、安藤さんが卵形ホールを提案していましたが、私の提案でそのまま残し、再生し、現在は評判良く利用されています。
現在、日比谷公会堂は音響的には残響も少なく、しかし舞台の音が観客に良く伝わるような「大いなるメガホン構造」になっています。その音の特徴をいかして再生することが決まっています。
劇場建築の専門家として、外国の劇場も沢山観てまいりましたが、外国の劇場はそれぞれ特徴があり、その特徴をいかした音楽やパフォーミングアートが行われています。
ドイツのベルリンフィルコンサートホールは、有名なワインヤード型であり、音のかえりが少ないので、カラヤンサーカスと言われていますが、そのためベルリン・フィルは力強い音を出す楽団が育っています。
それに比べ、ウィーンフィルミュジクフェラインは、内部はすべて木造で小さな劇場ですが、柔らかな残響の多い劇場です。したがって、ウィーンフィルは繊細な音と演奏が得意です。
音楽でもケルンの地下に埋まった円形型の音楽堂や、スペインの全面色ガラスの入ったカタルーニャ音楽堂など、それぞれ特徴があります。
オペラでは、ドイツのバイロイト祝祭劇場が有名ですが、これはワグナーが考えた舞台に対して観客が同じ視線で見れるような配置になったプロセニアム劇場の原型です。
有名なイタリアのスカラ座は、外は石やレンガで出来ていますが、内部は全て木と布で出来ているため、残響が大変少なく、よって歌手にとってはその声がテストされる所になります。それがミラノのスカラ座の特徴になっています。
スペインには、総ガラス張りのカタルーニャ音楽堂や、木造なので何度も火災を起こしているリセウ大劇場などがあります。
フランスもパリやニース、ボルドーなどそれぞれ地方に劇場がありますが、特に有名なパリ国立オペラでは、
古いガルニエのオペラ座、これは馬蹄形なので席によっては舞台が大変見にくい古いタイプの劇場です。
それに対して、近年造られた「近代劇場」としてのバスティーユの劇場があります。
私は新しいこのバスティーユの劇場で、会館が完成したオープニングのコンサートから何度か行っておりますが、ここは9面舞台を持つ最新のメカニックが揃った大規模オペラ劇場として造られました。そのため、天井は高く、舞台と観客の関係が希薄で、典型的な近代プロセニアム劇場です。したがって、舞台では沢山の演出が行われても、全く観客としても、のれない、楽しめない劇場です。それは、パリ市民及び芸術監督自身もそれに気づき、現在はガルニエの古いオペラ劇場を改修して、両方使われるようになりました。
今、京都会館の大ホールの計画は、本格的なオペラが出来る劇場に改造しようという話ですが、このバスティーユの劇場の二の舞にならないよう願っております。
あと、オーストリアには先ほどでたウィーンミュジクフェライン以外に、オペラではウィーンシュタットオーパー、フォルクスオーパーなど、ザルツブルクにも幾つもありますが、その一つの「フェルゼンライトシューレ」は、舞台が古い馬場の後を使っているため、屋外で吊りものなどが全くありません。私はそこのオペラを日本の別府に持ってきて欲しいと思い、今ピアニストのアルゲリッチさんが芸術監督をしている別府のハーモニアホールを提案しました。
野外劇場で有名なブレゲンツやメルビッシュなど、舞台の吊りものや舞台機構は全くありませんが、それぞれのロケーションを活かした、それこそ特徴のある野外オペラが毎年行われています。
イタリアのヴェローナのアレーナを利用したアレーナ・ディ・ベローナのオペラも有名ですが、ここもアレーナですので、舞台機構は全く有りません。
それこそ岡崎では、平安神宮をバックに、その前の広場を整備して、日本、京都でないと出来ない野外オペラを出来るように考えてはいかがでしょうか。
大ホールを中途半端にお金をかけて改造するより、平安神宮や大鳥居を取り入れた21世紀型の日本固有の野外オペラを育てて欲しいと思います。
私はこのような経験をもとに、兵庫県西宮の兵庫県立芸術文化センターの基本構想を立案し、設計監理委員として最後まで見ました。その他、音楽ホールや伝統芸能劇場など運営を含めての提案をして参りました。そのような立場で最後に「市民参加の劇場づくり」を提案します。私は常常、ソフトとハードは一体的に考えるべきだと考え、本(「ホールの計画と運営」・「劇場の計画と運営」)を執筆し、提案してきました。
兵庫県の各ホールに名前が付いているのは、全て運営費を賄うためのネーミングです。
大阪の野球場の京セラドームもそうでしょう。
今回そのネーミングの権利を全てドームに売り渡し、かつ一年間一億円のローンが提供してくれている資金を50年分まとめて、最初に建設費に当ててしまうことは、全く良くないと思います。
これこそ運営費にあてて市民利用を安くするべきです。
建設費は先ほど述べた小規模にすれば、数十億で済むと思います。
京都会館の広場および周辺歩道の床タイルを市民に参加してもらえば、数億円は集まると思いますし、ニューヨークのメット(リンカーンセンター)や横浜のスタジアムのように、観客席を先売りすることにより、運営の安定化と資金集めが出来ますし、その他岡崎地域の活性化のための木造屋台のシステムを考えると、京都市民および個人商店の様々な参加が出来ると思います。
結論として、市はもう少し時間をかけて、市民と共に、今後の京都会館のより良き在り方を考えればまだまだ色々な方法は考えられると思いますので、是非そのような「市民参加の計画と運営」をお願いしたいと思います。